AI議事録のプロンプトを比較|名前の誤りと締め切りの抜けを減らすには

AI議事録のプロンプトを3通り比較し、名前の誤りと締め切りの抜けを減らす方法をまとめた実例記事のアイキャッチ画像

「この作業、AIでラクにできない?」実例ノート 第2回

AIに会議の文字起こしを渡すと、見出しや表の付いた議事録が返ってきます。ただ、読みやすくまとまっていても、担当者の名前や締め切りが正しいとは限りません。実際に、会議のあとに録画を見返して、AIが作った議事録の名前や日付を直しているという声を見かけました。

今回は、お茶の通販会社が11月の販売キャンペーンを準備する会議を題材にしました。開始日やチラシの部数を決め、印刷会社や送料無料の条件を相談する架空の会議です。自作の台本を録音し、Gemini 3.1 Proで文字起こしと議事録を作りました。

同じ文字起こしでプロンプトを3通り試すと、用語集を付けた回では名前の誤りが直りました。一方で、締め切りが抜けたり、未決の話が決定扱いになったりしました。この記事では、会議の内容と実際の出力を比べながら、私が追加した指示を紹介します。

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目次

どんな会議の議事録を作ったのか

題材は、11月のキャンペーンに向けた定例会議です。登場人物、会社、商品、会議の内容はすべて架空です。実際の社内会議を録音したものではありません。

参加者は、司会の角田、仕入れ・発送担当の菅野、Web担当の東海林の3人です。売り出す商品は、和紅茶の「穂垂(ほたる)」と焙じ茶の「燈月(ひづき)」です。

会議では、次の内容を話し合います。

議題話し合った内容
開始日とチラシ開始日を11月7日から14日に変更し、商品に同梱するチラシを3,000部から2,000部に減らします。
印刷の依頼先東和印刷と三和梱包を比較します。三和梱包の見積もりを待って決めます。
販売ページLP(キャンペーンの案内ページ)は11月7日に予告版を公開します。文章と画像の準備を分担します。
商品と送料「穂垂」の100g缶を限定販売する案と、送料無料の基準を5,000円から4,000円に下げる案を検討します。
その他の企画ライブ配信は人手不足で取りやめます。贈答用の熨斗(のし)への対応は次回に持ち越します。

作りたいのは、会議後に「何が決まり、誰が何をするのか」を確認できる議事録です。まだ決まっていない話は、決定事項と分ける必要があります。依頼先によって異なる締め切りも、後で判断できるように残したい情報です。

たとえば、開始日は11月14日に変わりますが、販売ページの公開日は11月7日のままです。「日程を14日に変更」とだけまとめると、この違いが分からなくなります。

同じ文字起こしで、指示だけを変えて3回試した

台本は約1,900字です。私が1人3役で読み上げ、PCで録音しました。その音声をGemini 3.1 Proに渡し、文字起こしを作っています。文字起こしには話者名が付いていません。

続いて、同じ文字起こしを使って議事録を3回作りました。毎回、新しいチャットで実行しています。

回Geminiに渡した指示
1回目「この文字起こしから議事録を作ってください。」の1文です。
2回目参加者と用語集を添え、分類や引用など5つのルールを指定しました。
3回目2回目の抜けや誤りを見て、条件付きの数字や保留事項の書き方を追加しました。ルールは8つです。

台本を正解表として、名前、決定事項、担当する作業などを確認しました。採点の下書きはClaudeで作り、判定は私が行いました。録音を始めてから3回目の結果を保存するまで、体感で約30分でした。通常の議事録作成と比べた時間短縮の測定はしていません。

結果は次のとおりです。

確認した項目1回目2回目3回目
名前・用語の表記ミス4語0語※0語※
正解表で確認した決定事項4件とも記載4件とも記載4件とも記載
保留事項を決定とした誤り0件1件0件
作業一覧(ToDo)の記載6件。担当名の誤り2件5件。担当名の誤り0件6件。担当名の誤り0件
条件付きの数字の記載3組中2組3組中1組3組すべて
発言にない作業の追加0件1件0件

※1回目は12語を確認しました。2・3回目は商品名の「燈月」が出力に登場せず、残る11語での結果です。「燈月」の表記も直った、という意味ではありません。決定事項4件には、ライブ配信の取りやめを含めています。

この表は、正解表に沿って確認した結果です。議事録のすべての情報が正しい、という意味ではありません。

1回目:日付の変更は追えたが、担当者の名前が違った

1文だけの指示でも、日付や部数の変更は正しく反映されました。開始日は11月14日、チラシは2,000部と書かれています。販売ページの文章案も、発言中の言い直しを反映して「木曜」が期限になりました。

一方で、名前と商品名には次の誤りがありました。

正しい表記1回目の議事録の表記
菅野神田
一ノ瀬一の瀬
穂垂ほたる
燈月ひづき

この4語は、文字起こしの段階ですでに間違っていました。議事録を作る段階で、新しく生じた誤りではありません。

特に困るのは、担当者の「菅野」が「神田」になったことです。印刷会社の比較表を作る作業と、缶の在庫を確認する作業が、どちらも誤った担当名で記載されました。

そこで2回目は、人名や商品名の正しい表記と読みを用語集にして渡しました。商品名のような造語は、正しい表記を渡さない限り、AIには直せないためです。

2回目:名前は直ったが、未決の依頼が決定扱いになった

2回目は用語集に加え、議事録を「決定事項」「保留・未決」「取りやめた案」「ToDo」に分けるよう指定しました。

出力に登場した11語の表記ミスはなくなりました。「神田」は「菅野」に修正され、作業一覧の担当名も直っています。ただ、別の問題が出ました。

画像を誰に頼むかは、まだ決まっていなかった

会議では、Web担当の東海林が画像の作成について、次のように話しています。以下は文字起こしからの抜粋です。

「画像は、間宮さんにお願いしようと思ってます。」

「間宮さんのスケジュールって空いてるんですか?」

「それがまだ聞けてなくて、今日中に連絡してみます。もし間宮さんが難しかったら、Canvaで私が作ります。」

東海林は外部デザイナーの間宮に依頼したいものの、まだ予定を確認していない段階です。ところが2回目の議事録では、「画像は間宮さんに依頼する」が決定事項に入りました。作業一覧にも「画像の作成を依頼する」が加わっています。

ここで区別したいのは、画像の担当者は未定でも、予定を確認する作業は決まっているという点です。決定事項と保留事項を分ける指示だけでは、この区別がうまく反映されませんでした。

印刷会社ごとの締め切りが抜けた

チラシのデータを印刷会社に渡す「入稿」の締め切りも消えました。会議では、東和印刷なら10月24日、三和梱包なら10月28日と確認しています。

依頼先は未定でも、この2つの日付は残しておきたい情報です。どちらを選ぶかによって、原稿を準備する日程が変わるためです。

ほかにも、販売ページの送料欄をすぐに直せるようにしておく作業が、ToDo表から抜けました。この作業は決定事項には残っていましたが、担当者が作業一覧だけを見ると見落とします。保留事項のうち3件では、何を待って判断するのかも抜けていました。

2回目では、指定した分類だけでは残したい情報を拾いきれませんでした。ただし、分類の指定が原因だったかどうかは、この比較だけでは分かりません。

3回目:残したい数字と、保留の理由を指示に加えた

3回目は、「条件と数字」の欄を追加しました。締め切り、納品日、金額を、それぞれの条件と対にして書かせるためです。

実際の出力には、次の3組が入りました。下の表は、出力内容を記事用に整理したものです。

条件議事録に残った数字
入稿する会社東和印刷なら10月24日、三和梱包なら10月28日です。
東和印刷で印刷する部数3,000部なら11月10日以降、2,000部なら11月5日に納品されます。
送料無料の予算承認追加予算が通れば4,000円以上、通らなければ5,000円以上です。

また、未決の話には「何を確認してから決めるか」を書くようにしました。画像の担当者は、間宮の予定を確認してから決める保留事項になりました。作業一覧には、東海林が「今日中」に連絡・確認すると記載されています。

期限を言っていない作業も、表に残すよう指示しました。送料欄を直せるようにする作業は、「期限の発言なし」として入りました。

これで、今回の正解表で確認していた誤りやToDo表の抜けは解消しました。ただし、同じ会議を使った1回ずつの結果です。3回目の指示は、この会議の失敗例を見て作っています。別の会議でも同じ結果になるかは確かめていません。

実際に使ったAI議事録のプロンプト

以下は、3回目に使ったプロンプトです。検証時の文面をそのまま載せています。

次の会議の文字起こしから議事録を作ってください。

# 参加者
- 角田(司会)
- 菅野
- 東海林

# 用語集(文字起こしで誤変換されやすい語です。正しい表記に直してください)
- 人名:角田(かくた)、菅野(かんの)、東海林(しょうじ)、一ノ瀬(いちのせ)部長、間宮(まみや)さん
- 会社名:東和印刷(とうわいんさつ)、三和梱包(さんわこんぽう)
- 商品名:和紅茶「穂垂(ほたる)」、焙じ茶「燈月(ひづき)」
- そのほか:LP、同梱チラシ、熨斗(のし)、Canva

# 書き方のルール
1. 文字起こしに書かれていないことは書かない。推測で補った箇所には【推測】と付ける
2. 「決定事項」「保留・未決」「取りやめた案」「条件と数字」「ToDo」の5つに分けて書く
3. 結論が出ていない話題は「保留・未決」に入れる。「〜しようと思っています」「〜してみます」のように、相手の返事や確認を待つ話も保留に入れる。保留には、決まるきっかけ(いつ・何を見て決めるか)を書く
4. 会議の途中で内容が変わった話題は、最後の結論を書き、変更前の内容を(変更前:〜)と添える
5. 締め切り・納品日・金額のように、条件で変わる数字は「条件と数字」にまとめる。「この条件ならこの数字」を対にして書く
6. 決定や取りやめに理由の発言があれば、短く添える
7. ToDoは「担当・内容・期限」の表にする。「〜しておきます」と引き受けた作業は、期限がなくても表に入れる。期限は発言どおりに書き、日付に置き換えない。期限の発言がなければ「期限の発言なし」と書く
8. 決定事項とToDoのそれぞれに、根拠になった発言を短く引用する

# 文字起こし

使うときは、「# 参加者」と「# 用語集」を自分の会議に合わせて書き換えます。「# 文字起こし」の下に、会議の文字起こしを貼り付けてください。毎回、新しいチャットで送ります。前の会話の内容を引き継がせないためです。

ルール3の「〜してみます」は、保留の話にも、引き受けた作業にも出てくる言葉です。今回の会議でも、「画像の担当者を決めること」は保留で、「間宮の予定を確認すること」は今日中の作業でした。出力を受け取ったら、結論を待つ話と、すでに引き受けた作業が混ざっていないかを見てください。

ルール1で【推測】の印を付けるよう指示しても、印が付かないことがあります。この点は、次の章で説明します。AIが補った担当者や期限は、元の記録で確かめてから確定させてください。

会議の中身を貼る前に

社内で使ってよいAIと、入力してよい情報の範囲を確認してください。学習に使わせない設定にしても、社内の情報を入力してよいかは別の話です。Geminiのデータの扱いは公式のプライバシー ハブ(2026年10月時点)、ChatGPTの学習の設定はCodexに学習させない設定は2か所|ChatGPTとCodexの画面で確認で確かめられます。

引用が正しくても、議事録の内容は確認する

2・3回目は、決定事項や作業の根拠となる発言も引用させました。引用はそれぞれ12か所、9か所あり、どれも文字起こしにあることを確認しています。

ただ、発言が実在することと、その発言で議事録の内容を裏付けられることは別です。3回目の在庫確認の作業には、根拠として「わかりました。」だけが引用されていました。この一言だけでは、誰が何を引き受けたのか分かりません。直前の依頼も読む必要があります。

さらに、議事録から抜けた情報には、引用そのものが付きません。2回目の入稿の締め切りが抜けたことに気づけたのは、台本と照らし合わせたからです。引用で確かめられるのは書かれたことだけで、抜けは元の記録と見比べるまで分かりません。

実際の会議で使うときは、次の5点を元の記録と見比べてください。

  • 担当者の名前と作業内容が合っているか
  • 相手の返事待ちの話が、決定事項に入っていないか
  • 締め切り・納品日・金額に付いていた条件が残っているか
  • 期限のない作業や、途中で変わった話が抜けていないか
  • 引用の前後の発言が、書かれた内容を裏付けているか

文字起こし自体が怪しい箇所は、録音や録画に戻って確かめます。今回の3回目では、「神田」が「菅野」に直っていましたが、指示した【推測】の印は付いていませんでした。採点では誤りに数えていません。ただ、印が無いと、AIが直した場所を議事録から見分けられません。採点表で誤りが0件でも、確認がいらないわけではありません。

まとめ

今回の会議では、用語集を付けると、議事録に出てきた人名や商品名の表記が直りました。一方で、書き方を細かく指定した2回目では、入稿の締め切りが抜けるなどの問題が出ました。指示を増やせば、その分だけ正確になるとは限りません。

3回目で効いたのは、残したい情報を具体的に伝える指示でした。「条件ごとの締め切りを残す」「保留には、決めるために何を確認するかを書く」の2つです。会議のあとに議事録で何を確認したいかを先に考えると、足す指示も決めやすくなります。

まずは、内容をよく知っている短い会議で試してみてください。担当者、保留の話、条件付きの数字を元の記録と比べると、自分の会議で抜けやすい情報が分かります。今回の結果は、自作の短い会議とGemini 3.1 Proで、1回ずつ試した一例です。

次の実例では、Claudeで提案資料のスライドを作りました。同じ材料で頼み方だけを変え、2回作った結果を比べています。

関連記事:Claudeでスライド作成|骨子を先に頼むと5枚で分かりやすい資料に

前回の実例は、サーチコンソールをAIで分析した記事にまとめています。新しい実例はThreads(Satoshi_AITips)でも紹介しています。

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この記事を書いた人

40代の会社員です。日本ディープラーニング協会のG検定・E資格を保有し、データ分析コンペでも上位入賞しました。生成AIの活用で毎月の業務を約1日分削減し、職場ではAIツールの導入を進める役割にいます。プログラミングは独学の初〜中級です。このブログでは、自分で実際に使って確かめたAIツールの手順と画面をそのまま載せています。

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